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ULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラマン』MovieNEX特集

ココが違う!「HD Remaster 3.0」の見どころを徹底解説!
ULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラマン』MovieNEX特集

氷川竜介

取材・執筆:氷川竜介

氷川竜介

氷川竜介 ひかわ・りゅうすけ

1958年兵庫県生まれ。明治大学大学院 特任教授。東京工業大学卒業後、メーカー勤務を経て2001年に文筆家として独立。文化庁メディア芸術祭審査委員、毎日映画コンクール審査委員、東京国際映画祭プログラミング・アドバイザーなどを歴任。主な編著等:「20年目のザンボット3」(太田出版)、「日本特撮に関する調査報告書」(文化庁)、「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」(カラー)など。

 来年55周年を迎える『ウルトラマン』が、高画質Blu-ray BOXに!(2020年11月25日発売予定)資料性の高いプレミアムディスク同梱に加え、さらなる最新技術を駆使したレストアを敢行することで、さらに美しい画像が楽しめるようになりました。
 新たな「HD Remaster 3.0」とは何か? 2013年の「HD Remaster 2.0」とはどう違う商品なのか? 具体的な作業を行ったパナソニックAVCディスクサービス社、EXA社への取材を元に、その注目ポイントを明らかにしていきましょう。

はじめに

 今回は、4Kリマスターとは方向性が異なるレストアが行われています。4Kは解像度の向上とHDR化がメインで、それなりにコストも作業時間もかかります。しかし価格をリーズナブルに抑えつつ画質を向上させる必要もあり、それが商品化済みのマスターを応用した今回の試みにつながっているわけです。
 約7年前に行われた作業では、放送用「HD Remaster 1.0」に対し、さらなる補正、修正を行い、当時最良の状態の高画質化を目指して「HD Remaster 2.0」としました。それ以後、家庭での視聴環境も有機ELや4Kテレビの登場などで、大きく変化しています。そうした最新状況に適応させ、オリジナルの印象も留意しつつマスターの持っているポテンシャルを最大限に引き上げる高画質化が、今回の「HD Remaster 3.0」なのです。

高画質化作業の方針と分担

 まず適用された技術は大きく2つあります。
 EXA社の「E-QAS(イーカス)」は、ノイズを低減して本来の情報を最大限見えるよう調整する、マスタリングに関する技術です。パナソニックAVCディスクサービス社の「MGVC(マスターグレードビデオコーディング)は、スタジオマスターが持つ階調表現を可能な限り再生するためのエンコード技術なのです。

 今回は各社で作業を担当した技術者から、どのような考え方と方法で画質改善を行ったかを氷川がうかがってきました。

EXA社の沿革とE-QASブランド

 正式社名は「エクサインターナショナル」で、設立は1985年。その会社の沿革について、営業部マネージャーの中澤壮氏にうかがいました。

中澤「弊社は主に4つのサービスを行っています。バーチャルスタジオ、編集ポストプロダクション、アーカイブセンター、そして今回の“E-QAS(イーカス)”の運用です。

 映像フォーマットの変換技術が中心で、創業間もないころはF1レース中継がブームだったので、欧州の25fps(PAL方式)を日本の30fps(NTSC方式)へフレームレート変換を行っていました。以後は周波数変換、画角の変換、画面サイズの変換などのノウハウを蓄え、音響にも精通していますので、最高最上の映像をサポートする総合ブランドとして“エクサクオリティアドバンスドサービス”と銘打たせていただいたのが“E-QAS”(略称)です」

 “E-QAS”の詳細は制作技術部マルチメディアグループ部長・寺田浩氏から説明をお聞きしました。

寺田「年月とともに劣化した貴重な映像資産、トラブルのあった新撮影素材を、最高最上の状態に変換する独自のマスタリングシステムになります。オリジナル原版には歳月によって酸化が進み色味もおかしくなるなど、さまざまなダメージがあります。その劣化も含め、蓄えた知見によりいろんな技術を駆使して品質を高めるサービスです。

 素材の確認以後、ファイルフォーマット、ノンリニア編集、データ変換、マルチメディア部署など各部門のエクスパートがミーティングを行い、ベストなワークフローを割り出します。“E-QAS”というハードやソフトがあるわけではなく、弊社の知見を総合して最良の画質を提供するシステムなんです」

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