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空想科学『かいじゅうのすみか』プロジェクト

空想科学『かいじゅうのすみか』プロジェクト

怪獣の構造的な面白さを再発見していきました。
山口靖雄(円谷プロダクション アートディレクター)
インタビュー

取材・構成:秋廣泰生

目で見るドキドキ感とワクワク感。そして、ちょっとコワいような、どこか優しいような怪獣たちの姿…!
「かいじゅうのすみか」の絵本の世界は、見れば見るほど不思議な“かいじゅう”たちの魅力にあふれています。
今回の特集は、この世界が、どんな思いで描かれていったのかに迫ります。

自分の役割は、円谷プロの貴重な財産として存在する怪獣に、これまでとは違った見せ方を模索したり、新しい価値観を見つけ出したりする…もっと簡単に言えば、怪獣への目線を変えてみようという役割だなと思っている中で『かいじゅうのすみか』の絵本のプロジェクトに参加しました。かれこれ約7か月前から関わっていて、まだ絵を描く人も決まってない状態でした。と言うか、最初はこのプロジェクトが、本なのか絵本なのかもハッキリしていなかったですね。「どっちがいいかなぁ?」みたいな感じで(笑)。より具体的な作業の段階に歩みだしたのが、今年の3月くらいからです。唯一にして全ての道しるべが『かいじゅうのすみか』っていうキーワードで、そのキーワードから全てを考えてよしという事で、そのイメージから僕や隠田さん(=円谷プロダクション製作本部長)が思い描いたのは、現在、発表されているものに非常に近い感じでした。

怪獣そのものに対するお客さんの支持層を考えると、年上の方が多いだろうから、読み物や手記みたいなアプローチがいいかなと考えていた時期もありましたが、それを受けてラフ画を作っていくうちに、絵本という手法に固まっていきました。そこで今度は、どういった物語の流れを持つのか、世界観を決めなきゃいけないという段階になって、僕のイラストレーター仲間に加わってもらっています。この時に、怪獣をどんなタッチで描くのかを提示したんですが、まず、カッコいいでもなく、ユルすぎるでもなく、かといってカワイイだけでもない、ちょっとした気持ち悪さがある様な、そういう感じにして欲しいと要望を出しました。というのは、人の注目を集めるには絵に作家性が込められていた方がいいという考え方があるんですが、今回はたくさんの方々がよく知っている怪獣たちを中心に、しかも幅広く集めてくるわけですから、ある意味では、円谷プロの怪獣はユニバーサルデザイン化している訳ですよね。ですから、かいじゅうの世界感をいちばんに作りながらも作家性がある方がいいと考えたんです。僕らの思いとしては、たとえばイラストで描かれた植物図鑑の精確さや、博物館の展示の様な客観性みたいな感覚を求めました。すると2日くらいで最初のラフが上がってきて、これはいい、この方向で進めましょうということになりました。ラフとは言っても、現在の完成した絵と同様のテンションがありましたね。