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TRI-SQUAD NOVEL SERIES From TRI-SQUAD VOICE DRAMA 第1回「未来の思い出」

新連載小説
TRI-SQUAD NOVEL SERIES
From TRI-SQUAD VOICE DRAMA
第1回「未来の思い出」

池田遼

イラスト 後藤正行

 ❶

「俺の、名前は、タイガだぁー‼」
 溜まりに溜まったフラストレーションを吐き出すように俺は叫んだ。静寂を切り裂いて、薄暗い空間に叫び声がこだまする。
 ここで俺の叫びを聞いているのは古びたガラクタと——
 「息子くん、またですか?」
 事も無げに黙々と仕事をこなしながらフィリスが言った。彼はこの空間の主。俺より少し年上のブルー族だ。
「息子って呼ぶなよ……」
「冗談ですよ。でも、むしゃくしゃするたびにここで叫ぶの、やめてください」
 M78星雲・光の国には様々な種族が暮らしている。戦闘が得意なシルバー族やレッド族は宇宙警備隊に所属して平和のために戦うことが多く、対してフィリスのようなブルー族は頭脳が明晰で科学技術局など頭脳労働系の部署に勤務するのが通例だ。
 フィリス曰(いわ)く、科学技術局の仕事は多岐に渡るとのこと。宇宙警備隊の後方支援、新技術の開発、さらには過去の遺物の管理まで。
 ここはその過去の遺物を管理・保存するための、いわば倉庫のような場所だ。まわりには歴史上の大事な遺産がびっしり整理されて並んでいるが、管理人であるフィリス以外には誰もいない、つまり俺が日々の不満を吐き出すのにうってつけの場所というわけ。
「誰かいるところで叫んだら、余計に騒がれちまうだろ」
「父親が偉大すぎるのも、考え物ですね」
 ウルトラマンタロウ——それが俺の父の名前だ。この事実は俺の日々の不満の一旦を担っている。……というより、ほぼこの一点に尽きる。
 「宇宙警備隊大隊長ウルトラの父と銀十字軍隊長ウルトラの母の一人息子にして、ウルトラ六兄弟の一員。さらには宇宙警備隊の筆頭教官……。肩書が渋滞してますよ」