TSUBURAYA GALAXY

TEXT SIZE

標準
ARCHIVESプロジェクトレポート 第1回「ARCHIVESプロジェクトはブランディングの魂」

ARCHIVESプロジェクトレポート
第1回「ARCHIVESプロジェクトはブランディングの魂」

清水節

清水 節 しみず・たかし

1962年、東京都生まれ。映画評論家・クリエイティブディレクター。「PREMIERE日本版」「STARLOG日本版」等での編集執筆を経て、「映画.com」「シネマトゥデイ」「FLIX」等で執筆、ニッポン放送等に出演。著書に「いつかギラギラする日  角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」等。WOWOWのドキュメンタリー番組「ノンフィクションW/撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画制作でギャラクシー賞、国際エミー賞受賞。

 円谷プロが始めた「ULTRAMAN ARCHIVES」は極めて重要なプロジェクトだ。それを語る上で、まず自らのウルトラマンシリーズ体験を明かしておこう。1962年生まれの筆者は、小学校に上がる前に『Q』『マン』『セブン』の洗礼を浴びた、いわゆる第1次怪獣ブームの申し子である。毎週出現する怪獣に目を輝かせ、巨大ヒーローの勇姿に憧れ、オモチャを手にしてブラウン管の中の戦いを再現した。図鑑で想像力を拡げ、グッズを集めては世界観に没入した。そんな日々に別れを告げて思春期になったある日、覚めたはずの熱が再燃する。きっかけは、70年代後半から出版メディアで活発になり始めた、いつか観た作品を多角的に見つめる編集者やライターの仕事だった。スタッフやキャストへのインタビューから、クリエイティブの醍醐味や情熱を読み取った。分析や批評から、作品に込められたテーマやメッセージの深さに気づかされた。映像作品を享受するだけでなく、関連商品を消費するだけでなく、背景や意味、作り手の意図を知ることによって、幼少期の夢は同世代のカルチャーへと昇華していった。そしてオモチャはリアルなフィギュアになった。特撮映像の素晴らしさを掘り下げる「再発見」のムーブメントは、作品への想いを高めさせ、シリーズを発展させていく上でも有意義なものだった。今に至る特撮文化の礎は、あの頃に築かれたといっても過言ではない。世代が変わろうとも、幼少期に出会い思春期に目覚めるこのプロセスは、多くのウルトラマンシリーズのファンが共有するものではないだろうか。

レジェンドの証言と文化人の知見

 これまでメディアが担ってきた作品の検証作業に対し、円谷プロはあくまでも監修する立場だった。もちろんビデオグラム化する際に、特典映像という形でインタビュー収録を行うことはあった。しかし付加価値としてではなく、明確な意志の下に円谷プロが自ら歴代作品を見つめ直し、スタッフ・キャストの証言やクリエイター・文化人らの知見を、体系だった形で残していく取り組みこそが、「ULTRAMAN ARCHIVES」の骨子といえるだろう。それはウルトラマンシリーズが時代性と普遍性を兼ね備え、心を豊かにしてくれる作品であることを再認識するプロセスでもある。そうした作業を基点として、ビデオグラム化やイベント化、書籍化、特別商品のリリースを通し、作品の新たな魅力を伝えてより深く味わって頂くとともに、未だかつて観たことのない人にも作品を知って頂くことによって、半世紀以上前の資産を改めて未来へ継承していこうというプロジェクトだ。