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円谷の本棚から
ウルトラQアルバム(朝日ソノラマ、97年刊)

「円谷の本棚から」 第1回

「ファンタスティックコレクション 空想特撮シリーズ
ウルトラQアルバム/朝日ソノラマ刊」

今より少し昔。
多くの特撮ファンにとって、“紙の本”はとても重要かつ、心ときめくアイテムでした。
その頃は、まだ今ほど民生用映像機器が発達・普及しておらず、円谷プロの原点『ウルトラQ』と2019年の時点で最新作である『ウルトラマンR/B』を映像保管メディアやソフトによって個人が自由に所蔵し、それらの作品を同時並行していつでもどこでも気軽に楽しめるような時代が来るとはまだ考えられていませんでした。
そんな時代、貴重な写真や映像のコマ、詳細なストーリーガイドや論説が記載された本、雑誌、ムックの類いはファンにとって類稀なる「お宝」でした。
そんな古き良き時代に、ファンの心を揺さぶり、魂の渇きを癒してきた“本”に焦点を当てていくのがこのコラム、「円谷の本棚から」です。

その1回目として注目したのは、最初ということにちなみ、円谷プロの原点、『ウルトラQ』に関する本。
『ウルトラQ』は、その古くは放送開始前に取り扱いを始めた講談社発刊の月刊漫画雑誌「ぼくら」の絵物語、集英社発刊の少年漫画雑誌「少年ブック」の漫画を皮切りにし、その後、放送開始によってブームに火が点くと、これらの少年向け雑誌を筆頭に世を席巻していくことになりました。しかしその頃、こういった紙媒体のメディアの主流は月刊ベースで、何よりも番組の放送と連動して盛り上げていく「情報発信」の側面が強かったため、1つの作品を総覧しながらじっくり堪能し、味わうための“本”の登場は、第1次、第2次怪獣ブームを経て、海外のSF大作映画の上陸や日本のSFアニメの勃興によって形成された第3次怪獣ブームが到来し、世の人々を沸かすのを待たなくてはなりませんでした。その間、およそ15年。この15年という時間は、『ウルトラQ』に触れ、絶大なるカルチャーショックを受けた最初の世代の子どもたちが成人し、今度は自分たちがメディアの作り手、送り手側になっていくのに必要な時間だったのです。

彼らは自分たちが心ときめかせたものは何であったか?にダイレクトに切り込み、味わったカルチャーショックの影響を冷静に、そして時に非常な情熱を持って分析し、理論化し、体系づけ、その実相にあったものを解き明かし、様々な出版物、それを起点にした様々なメディアに関わっていくことになります。そのうちの一人が、中学卒業後に円谷プロに入社して活躍し、多くの怪獣図鑑、特撮関連書籍の企画・構成・編集に携わることになる竹内博さんです。今回紹介する「ウルトラQアルバム」においても、企画・構成としてその名前が奥付に確認できます。