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円谷怪獣のひみつ

円谷怪獣のひみつ

切通理作

(撮影・杉本晋一)

切通理作 きりどおし・りさく

1964年、東京都生まれ。文化批評。『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』『怪獣少年の<復讐> 70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)『山田洋次の<世界>』(ちくま新書)『ポップカルチャー・若者の世紀』(廣済堂出版)『失恋論』(角川書店)ほか多数。『宮崎駿の〈世界〉』(現ちくま文庫)でサントリー学芸賞受賞。2013年12月より、日本映画批評メルマガ『映画の友よ』(夜間飛行)を配信中。それが昂じて初監督作品『青春夜話 Amazing Place』(アルバトロスよりDVD化)、責任編集の雑誌『シネ★マみれ』を作る。

第10回 怪獣供養、それはきれいごと?

 ガヴァドン、ヒドラ、ウー、ジャミラ、シーボーズと、『ウルトラマン』には、ウルトラマンや、人間側の代表である科学特捜隊員にとって、攻撃したり、倒してしまうことにためらいのある怪獣も登場した。中には、倒されずに終わった怪獣もいる。
 ジャミラが登場した「故郷は地球」(第23話)は、2013年に刊行された「別冊映画秘宝 ウルトラマン研究読本」(洋泉社)での、読者選出の人気エピソードでも第一位となった、視聴者にとっても印象的なエピソードである。
 これらのエピソードは、怪獣を倒す爽快感ではなく、そうしなければならないという事への、科特隊員の「気の重さ」が描かれる。
 もちろん、そうでない回でも、大暴れはすれど最後にはやっつけられる怪獣の存在に、一抹の悲哀を見出すことはあった。ゴモラ、ケムラー、ドドンゴ、ジラースの時などがそうである。
 だが、観ていて「気が重くなる」回は、いまあらためて視聴しても、科特隊員(そして時にはウルトラマン)同様、「怪獣退治にどうしてためらいがあるのか」という事を、容赦なく突き付けていることに驚かされる。