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怪獣プロファイル ケース2「ガラモン」

怪獣プロファイル
ケース2「ガラモン」

秋廣泰生

秋廣泰生 あきひろ・やすお

1967(昭和42)年生まれ。鹿児島県出身。
1980年代後半より、円谷プロ製作部/営業部でウルトラマンシリーズや円谷プロ作品を収録した黎明期のビデオ、レーザーディスクの制作(本編映像完パケ/映像特典、封入解説書執筆ほか印刷物全般)を担当。以降、円谷プロ作品のCD制作(曲構成・封入解説書執筆)、DVD制作(映像特典構成・演出、封入解説書執筆)に携わる。
CSファミリー劇場にて放送された、当時のスタッフや出演者をゲストに作品を紹介していく番組『ウルトラ情報局』では全話の構成・演出を担当。
その他、『バラサでブースカ』『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』で番組の構成・演出を、『帰ってきたアイゼンボーグ』ではドキュメンタリーパートの監督を務めた。
現在も、ウルトラマンシリーズや円谷プロ作品のCD、DVD、Blu-rayほか封入解説書執筆や、映像特典制作、書籍の執筆などを手掛けている。

 ガラモンは、実に不思議な姿形をした怪獣だ。ピグモンに代表される直接の派生型(ピグ、ミーニン、ガモランなど)以外には、ガラモンのデザインを受け継ぎながら新たなスタイルを模索したキャラクターは見当たらない。独特のシルエットを持つナメゴンにも、ゴーガやジェルガ、クロノームといった様々な形状や色彩のバリエーションがトライされ、個性を放ったことを思うと、まさに“ガラモン型”はオンリーワンモデルと言えそうである。
 そんなガラモンであるが、何故、ああいう姿形の怪獣であったのか? 今回は、それについて考えてみたいと思う。

 ガラモンが初登場した「ガラダマ」(『ウルトラQ』第13話)を振り返ってみよう。ガラモンは、後に再登場編である「ガラモンの逆襲」で明らかになるように、セミ人間ことチルソニア遊星人によって地球に送り込まれ、操られる侵略ロボットという設定だが、ならば『ウルトラセブン』に登場するキングジョーの様な、いかにもロボット!という姿に置き換えても、物語は破綻しなかったのではないか。また、ガラモンが一見するとロボットには思えない姿の怪物という観点から『ファイヤーマン』のティラザウルス(第12話登場。恐竜のミイラがロボット化されたという設定)の様な姿をしていたとしても、物語を展開していく上で支障が無かったはずである。
 しかし、この事は裏を返せば「ガラダマ」は、私たちがよく知る、あの姿をした怪物がガラモンであったからこそ『ウルトラQ』の傑作ストーリーになったのだと、断言出来る重要なポイントでもあるのだ。

 『ウルトラQ』は、製作当初は『UNBALANCE』というタイトルで撮影が進んでいて、“UN”+“BALANCE”という英文字に象徴される様に「もしも我々をとりまく自然界のバランスが崩れたら…?」という想定をベースにしたSFドラマだった。人間が途方もなく巨大化する「変身」や、いわゆる幽体離脱現象が起こる「悪魔ッ子」は、『UNBALANCE』として撮影されていた当時を明確に記す物語。そうした方向性が、早い段階で放送するテレビ局の意向によって、毎回怪獣が登場する物語へと変更された。テレビ番組として<SF路線>から<怪獣路線>への軌道修整だ。キャンセルになった脚本があったとも、撮影が途中で中断された物語があったとも伝えられている。