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円谷の本棚から
第2回 「怪獣大全集3 怪獣絵物語 ウルトラマン」
(ノーベル書房刊)

『ウルトラマン』の中心的クリエイターによるノベライゼーション

今より少し昔。
多くの特撮ファンにとって、“紙の本”はとても重要かつ、心ときめくアイテムでした。
そんな古き良き時代から、ファンの心を揺さぶり、魂の渇きを癒してきた“本”に焦点を当てていく「円谷の本棚から」。第2回は「小説 ウルトラマン」のタイトルでも知られている、あの名著について語っていきます。

「怪獣絵物語 ウルトラマン」。50有余年となる円谷プロの歴史の中において、この本ほどエポックメイキングな存在はなく、恐らく多分きっと、この本を超えるインパクトを持つものはそうそう簡単には世に出ないのではないか。そう思わせるほど、この本の存在感は凄い!と思います。
その凄さを語る前に、このノーベル書房の「怪獣大全集」シリーズのことを簡単に補足しておきますね。前回のこのコラムでも触れたように、『ウルトラQ』によって怪獣ブームが起こって、様々な印刷媒体、“紙の本”が世に出ましたが、その当時のヒット商品と言えば、秋田書店から刊行された「写真で見る世界シリーズ」の「怪獣画報」と「怪獣図鑑」でした。特に後者は伝説の名編集者・大伴昌司さんが手掛けたもので、現在の天皇陛下が幼い時分にお買い求めになったことでも一躍有名になったものです。この2冊の書籍の大ブレイクという追い風に乗り、怪獣ブームを総括する決定版を、という意図の元、昭和42年6月から毎月2冊、全10巻予定にて刊行という壮大な企画として展開されたのがこのノーベル書房の「怪獣大全集」シリーズでした。その第3巻に当たる「怪獣絵物語  ウルトラマン」。初版発行は1967年8月。この刊行とほぼ同時期に、東宝系で映画『長篇怪獣映画 ウルトラマン』(東宝の創立35周年記念作品『キングコングの逆襲』と同時上映)が封切られています。この刊行・公開のタイミングを合わせてきたのは、双方を盛り上げる狙いがあったのかも知れませんね(今でいうメディアミックスの走りですネ)。

この本(カテゴリーで言うと、ノベライゼーションに相当すると思うので、以後はそう表現します)、何が凄いかと言って、ここに書かれたことが、『ウルトラマン』という映像作品の様相をある意味で決定づけ、総括してしまったという点に尽きるのではないかという点です。今もなお、このノベライゼーションの記述をもって「『ウルトラマン』とはこういうことなのだ」と、バイブルのように感じている向きも数多く存在しているという事実からも窺うことが出来ます。