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日本人とウルトラマン

日本人とウルトラマン
第17回 史上最大の贈与

中沢新一

中沢 新一(なかざわ しんいち)

1950年、山梨県生まれ。思想家・人類学者。明治大学野生の科学研究所所長。インド・ネパールでチベット仏教を学び、帰国後、人類の思考全域を視野にいれた研究分野(精神の考古学)を構想・開拓する。著書に『チベットのモーツァルト』、『森のバロック』『フィロソフィア・ヤポニカ』『アースダイバー』『カイエ・ソバージュ』シリーズ、『芸術人類学』『野生の科学』『大阪アースダイバー』『熊楠の星の時間』ほか多数。日本の各地における歴史や文化の生成を人文科学と自然科学の両観点から解き明かそうとする試みである「アースダイバー」プロジェクトや展覧会の監修など、多岐に渡る活動を展開している。

物語の終わりに

 度重なる侵略者たちとの戦闘によって、モロボシ・ダンの身体は悲鳴をあげていました。極度の疲労はダンの集中力を落とし、満足に任務をこなすことすらできません。度重なる失態。クラタ隊長からも叱責を受け、ダンは追い込まれていくのでした。夢か現か、そんなダンの前に、故郷M78星雲からの使者が現れます。ダンの身体は激しい戦いを重ねた結果、多くのダメージが蓄積し、これ以上地球に留まることすら危険な状態になっていました。M78星雲に帰るときがきたのです。使者からの警告にダンは問い返します。しかし、この美しい星を狙う侵略者たちは後を絶たない。自分がいなくなったらこの美しい星はどうなるのか? 「今は自分のことを考えるべきだ、地球に留まることは死を意味するのだ」という使者に、ダンは悲壮な決意を伝えるのでした。「今は帰れない。地球に恐ろしいことが起こりそうなんだ。このまま放っていくわけにはいかん」。ダンの覚悟を感じ取ったのか、使者はただ忠告を残すのでした。「戦ってこれ以上エネルギーを消耗してはならん。M78星雲に帰ることもできなくなってしまうぞ。変身してはいかん!」