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怪獣プロファイル

怪獣プロファイル
ケース21「ヒドラ」

秋廣泰生

秋廣泰生 あきひろ・やすお

1967(昭和42)年生まれ。鹿児島県出身。
1980年代後半より、円谷プロ製作部/営業部でウルトラマンシリーズや円谷プロ作品を収録した黎明期のビデオ、レーザーディスクの制作(本編映像完パケ/映像特典、封入解説書執筆ほか印刷物全般)を担当。以降、円谷プロ作品のCD制作(曲構成・封入解説書執筆)、DVD制作(映像特典構成・演出、封入解説書執筆)に携わる。
CSファミリー劇場にて放送された、当時のスタッフや出演者をゲストに作品を紹介していく番組『ウルトラ情報局』では全話の構成・演出を担当。
その他、『バラサでブースカ』『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』で番組の構成・演出を、『帰ってきたアイゼンボーグ』ではドキュメンタリーパートの監督を務めた。
現在も、ウルトラマンシリーズや円谷プロ作品のCD、DVD、Blu-rayほか封入解説書執筆や、映像特典制作、書籍の執筆などを手掛けている。

ヒドラという怪獣の位置付けを思う

 かねてから筆者は、リトラ(『ウルトラQ』第1話)やラルゲユウス(『ウルトラQ』第12話)など鳥の怪獣は《聖獣》だとする説を語ってきた。いずれも子ども(周囲から孤立した感のある男の子)に味方するかの様に行動し、同じ画面の中に収まって、なにかしらのコンタクトをみせる。物語の主軸の中に、これらの怪獣たちと子どもとの関係性が織り交ぜながら描かれるのも特徴で、各話の導入部こそ怪獣映画的サスペンスながら、ラストは怪獣に寄せる男の子の思いで締め括られる。その結果、観る者は、リトラやラルゲユウスの最後の姿に、深く感情移入せずにはいられないし、ファンタジックな印象を残していくことにもなる。

 筆者のヒドラへの思いも、リトラやラルゲユウスに対するものと近かった。ヒドラの登場する「恐怖のルート87」(『ウルトラマン』第20話)での事件収束後、科学特捜隊のムラマツ隊長は“白鷺は乙女の化身”という例えを語り、ヒドラは、交通事故で命を落としたムトウ・アキラ少年の魂の化身ではなかったかとの思いをめぐらせる。そして、その言葉に導かれて物語も落着に向かっていく (しかも、そこに流れる劇伴音楽は『ウルトラQ』第12話で使われるのと同じ感動曲だ) 。これによって物語を受けとめる側も、自然とヒドラは決して悪い怪獣ではなかったという思いが育まれていった。