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怪獣プロファイル ケース2「ガラモン」

怪獣プロファイル
ケース3「ペギラ」

秋廣泰生

秋廣泰生 あきひろ・やすお

1967(昭和42)年生まれ。鹿児島県出身。
1980年代後半より、円谷プロ製作部/営業部でウルトラマンシリーズや円谷プロ作品を収録した黎明期のビデオ、レーザーディスクの制作(本編映像完パケ/映像特典、封入解説書執筆ほか印刷物全般)を担当。以降、円谷プロ作品のCD制作(曲構成・封入解説書執筆)、DVD制作(映像特典構成・演出、封入解説書執筆)に携わる。
CSファミリー劇場にて放送された、当時のスタッフや出演者をゲストに作品を紹介していく番組『ウルトラ情報局』では全話の構成・演出を担当。
その他、『バラサでブースカ』『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』で番組の構成・演出を、『帰ってきたアイゼンボーグ』ではドキュメンタリーパートの監督を務めた。
現在も、ウルトラマンシリーズや円谷プロ作品のCD、DVD、Blu-rayほか封入解説書執筆や、映像特典制作、書籍の執筆などを手掛けている。

そのデザインと造形の根底にあったかも
しれない、黎明期のテレビ

 この原稿を書くために改めて「ペギラが来た!」のDVDを観て驚いた。そして直感した。ペギラこそは、黎明期の特撮テレビ番組のために創造された怪獣だったのではなかっただろうか?

 冷凍怪獣ペギラ。腕と翼が一体になったフォルムに強烈に惹かれ、幼少期に、よく絵を描いていた怪獣の筆頭だった。もちろん翼込みで描きたいので全身像である。シンプルなフォルムは描き易くて、幼心にも、ひと筆描きの様な感覚ではなかったかと思う。口から冷凍光線をシュワー!と描けるのも良かった。それは今にして思えば、なのだが、鉛筆なりクレヨンなり、怪獣を描くとなると、どうしたって静止画像になる。ユニークな全体像を自分なりに色や形で捉えた情報集積の結果を一生懸命、紙の上に定着させたい訳だから、それはやっぱり静止画になるのである。だがペギラの場合、口から吐き出す冷凍光線を描き入れると、静止画は突然「動」の瞬間を捉えた躍動美を醸し出す。静止画としての“そこにある個体”から一転して“生きている一瞬”へと変わる。すなわち“生態描写”へと変わることで、冷凍怪獣と呼ばれる巨大な生き物としてのアイデンティティが宿るのである!…などと、幼少期に思考していた訳では無い。だが、気分として、そういう無意識のプロセスが楽しかったのだろう。冷凍光線を噴射する描写を加えることで「動」の存在感が増し、生き生きとしてくるペギラは、お気に入りの怪獣だった事は間違いない。
ついでに言えば、尖った耳をふたつ頭の上に付ければ、あっと言う間にチャンドラーが描けてしまうのも楽しかった。幼少期の頃は、ペギラのキャラクタースーツが、後にチャンドラーに改造されたなど知るよしも無く、当時この言葉を知っていたかどうかは定かでないが、ペギラとチャンドラーは、非常によく似た“他人の空似”として、全くの別怪獣と捉えていた。それに、もはや出典は不明だが、当時何冊も持っていた怪獣図鑑の記述から、ペギラは空を飛べて、チャンドラーは「有翼怪獣」ながら空を飛べないという情報がインプットされていたから、地に足をつけたチャンドラーと、時には空を飛ばせて描いても差し支えのないペギラとを描き分けられて…これも小難しく言えば、子どもなりに明確に意識した、情報管理とその実行であり、ペギラとは意外と面白いつきあい方をしていたのだなと、思い出すだに楽しくなってくる。