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ARCHIVESプロジェクトレポート第4回「上原正三(脚本家)」

ARCHIVESプロジェクトレポート
第4回「上原正三(脚本家)」
「ニライカナイ」こそ「光の国」
陰りなきウルトラマンとは、金城哲夫自身だ

清水節

清水 節 しみず・たかし

1962年、東京都生まれ。映画評論家・クリエイティブディレクター。「PREMIERE日本版」「STARLOG日本版」等での編集執筆を経て、「映画.com」「シネマトゥデイ」「FLIX」等で執筆、ニッポン放送等に出演。著書に「いつかギラギラする日  角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」等。WOWOWのドキュメンタリー番組「ノンフィクションW/撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画制作でギャラクシー賞、国際エミー賞受賞。

(※本文敬称略)

「ULTRAMAN ARCHIVES」プロジェクトにおけるレジェンドの第1回収録は、東京・神田錦町の学士会館で2018年4月に行われた。いわば、ノンフィクション「プレミアムトーク」のパイロット版的な役割を果たすことになったこの収録は、監督・飯島敏宏と脚本家・上原正三、そして筆者の鼎談(ていだん)という形で進められた。多岐にわたった話の中でも、ここでは「ウルトラマンとはどんな存在なのか?」というテーマについて掘り下げてみたい。

 『ウルトラQ』の成功によってTBSの要請を受け、脚本家・金城哲夫がまとめ上げた企画『ベムラー』。それは、毎回怪獣を倒す正義の巨大ヒーローが登場するシリーズではあったが、ヒーローであるベムラーもまた怪獣とされ、神風のように何処からともなく姿を現して人間を救う、大地の霊力を持ったカラス天狗のような姿をしていた。「怪獣vs怪獣」という発想が原点だったものの、ヒーローが番組のカラー化に映える存在かどうかという点をめぐって再考が求められる。そして金城は、颯爽(さっそう)と現れて人間のピンチを救う宇宙人へと発想を転換。レッドマンを経て、ウルトラマンが誕生する。

海の向こうにある神々の国から
助けがやってくるという願い

 つまり、カラス天狗的な怪獣から銀と赤の宇宙人へとシフトしたが、ヒーローの原点は、何処からともなく出現する神聖な力を宿した存在だった。半世紀以上続くシリーズにおいて、その設定や世界観は変容してきた。鼎談で飯島は「ウルトラマンは光の国から来た使徒であって、決して戦士ではない」と語り、光の国の中でさえ抗争が起きるウルトラマン像へ違和感を唱えた。裏付けとして、沖縄出身の金城哲夫が口にしていた「ニライカナイ」というイメージを挙げた。それは、奄美沖縄地方で海の彼方にあると信じられている楽土であり、そこから神が訪れて豊穣をもたらすという伝承だ。ウルトラマンの故郷「光の国」とは、「ニライカナイ」のメタファーであると、同郷の上原に対して金城が具体的に語ったことはあるのだろうか。