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『ウルトラQ』エピソードガイド 第5回 Episode12「鳥を見た」

『ウルトラQ』エピソードガイド
第5回 Episode12「鳥を見た」

氷川竜介

氷川竜介

氷川竜介

氷川竜介 ひかわ・りゅうすけ

1958年兵庫県生まれ。明治大学大学院 特任教授。東京工業大学卒業後、メーカー勤務を経て2001年に文筆家として独立。文化庁メディア芸術祭審査委員、毎日映画コンクール審査委員、東京国際映画祭プログラミング・アドバイザーなどを歴任。主な編著等:「20年目のザンボット3」(太田出版)、「日本特撮に関する調査報告書」(文化庁)、「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」(カラー)など。

解説

 TBS映画部(当時)の中川晴之助監督はこの第12話、第8話「育てよ! カメ」、第15話「カネゴンの繭」に対し、脚本家の山田正弘と組んで「少年期にしか見えない世界」を怪獣に絡めて描いている。まるで三部作のようになっているが、特に本エピソードでは、時空を超越して漂流する怪鳥と村から疎外された少年との純な交流を描き、怪奇だけではない叙情性を『ウルトラQ』にあたえることで、シリーズ全体を豊かなものにした。

 夜明け前の動物園で、動物たちは空から襲撃する何ものかにおびえていた。朝になると檻はすべて破られ、すべての動物は消えていた。発見された飼育係は「鳥を見た…」と、謎の言葉を残して絶命してしまう。

 港市の漁村では、三郎という少年が飲み水を一升瓶に詰め、船で冒険へと乗り出そうとしていた。そのとき半鐘が鳴り響き、古代の帆船が漂流してきた。ボートから船内へ乗りこんだ万城目たちは奇妙な文字で書かれた航海日誌を見つけ、由利子の側には白い小鳥が飛んできた。激しい揺れが発生したため一同が急いで下船すると、船は崩れ落ちるように沈没していった。

 孤島に到着し、小屋での生活を始める三郎。その手に先の小鳥が飛んできた。三郎は鳥をクロオと名づけ、他には誰もいない「少年と鳥」の夢のような生活が始まった……。
 一の谷博士によって、航海日誌は現在から998年前のものと判明した。しかも飼育係の言葉と同じ「鳥を見た」という記述がある。由利子は鳥類大図鑑を調べ、あの小鳥が「ラルゲユウス」ではないかと推察する。しかしそれは第三氷期以前に棲息した鳥の先祖の一種で、全長43メートルにもおよぶ巨鳥なのだ(現在の公式設定は50メートル)。10世紀中ごろ、そのラルゲユウスの大群がインド西部の都市に現われたという。998年前と時期が合う…。