TEXT SIZE

標準
怪獣プロファイル ケース2「ガラモン」

怪獣プロファイル
ケース5「ラルゲユウス」

秋廣泰生

秋廣泰生 あきひろ・やすお

1967(昭和42)年生まれ。鹿児島県出身。
1980年代後半より、円谷プロ製作部/営業部でウルトラマンシリーズや円谷プロ作品を収録した黎明期のビデオ、レーザーディスクの制作(本編映像完パケ/映像特典、封入解説書執筆ほか印刷物全般)を担当。以降、円谷プロ作品のCD制作(曲構成・封入解説書執筆)、DVD制作(映像特典構成・演出、封入解説書執筆)に携わる。
CSファミリー劇場にて放送された、当時のスタッフや出演者をゲストに作品を紹介していく番組『ウルトラ情報局』では全話の構成・演出を担当。
その他、『バラサでブースカ』『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』で番組の構成・演出を、『帰ってきたアイゼンボーグ』ではドキュメンタリーパートの監督を務めた。
現在も、ウルトラマンシリーズや円谷プロ作品のCD、DVD、Blu-rayほか封入解説書執筆や、映像特典制作、書籍の執筆などを手掛けている。

ラルゲユウスは時空を超えて今日も飛ぶ
~または、私はどの様なプロセスで
ラルゲユウスを多面的に愛する様になったか~

 昨今「ギャップ萌え」という言葉を耳にしたり、それにまつわるリアクションをよく体感する。これは読んで字のごとし“ギャップがあるが故に萌える”という趣旨であり、その典型的な事例は、マンガやアニメ、ラノベなどに登場する、クラスの誰ともつるまない一匹狼的硬派の男子キャラクターに対し、ある時、雨にうたれ て震えている子犬を大事に介抱している姿を、たまたま同級生の女子が目撃してキュンと心動かされたり、あるいは、とある女子が、さる男子に好意を抱いてはいるが、他者の目がある時には高圧的だったり否定的な言動をとるものの、他者の目の無い時には純情純朴に一転。まともに目線さえ合わせられない様な態度に変わ ってしまったりと、その人物についての両面性の差が著しいほど、より親近感や情愛を抱くきっかけになるという様な現象が「ギャップ萌え」であると解釈してよいように思う。
では、なぜそういう話題からスタートしたかと言えば、筆者にとってラルゲユウスこそ、元祖ギャップ萌えウルトラ怪獣ではなかったかと考えているからなのである。
ラルゲユウスは『ウルトラQ』第12話「鳥を見た」に登場した古代怪鳥で…と書き進めると…「ははぁ、ラルゲユウスは普段は文鳥の様な姿形をしているけれど、ひと度巨大化すると凄まじい突風を引き起こす、怪獣然とした威容に変わるからだな!」と、思われた方もいらっしゃるかもしれない。確かに、ラルゲユウスにはそういう設定があり描写があって、劇中でも迫真性の高い映像モンタージュや音楽効果に結実している。ただ、ここで語ろうとするラルゲユウスへの視点は、ちょっと違っていて、それは「いつ、どんな状況でラルゲユウスとファースト・コンタクトを果たしたか?」という思いに端を発している。

 このコーナーで怪獣たちの事を記していくにあたり、自分の脳内記憶に総動員をかけたり、雑談レベルではあるものの、怪獣についての思いを出来るだけ多くの方々にリサーチしてまわるという、準備段階の時間を取る様にしているのだが、そうした中で感じられてくるラルゲユウスについての評価には、相反する見方で二分される…とまでは言わないにせよ、出会い方によって、別方向の印象を抱いた、その代表格ではなかったかと考えるからなのである。
ラルゲユウスの登場する「鳥を見た」は、最大公約数的な作品評として“孤独な少年と鳥との出会い、そして別れ”をテーマに描いた物語であると受け止めて差し支えない様に思う。未見の方のためにネタバレを避け、ドラマの中身についてはすっ飛ばすが、前述の様なテーマから導かれたであろう『ウルトラQ』の中でも突出して情感的な画作り・音楽効果で締め括るエンディングからも、昭和41年の初放送時を含め、完成映像の全編に接した多くのファンからは“いい話”として受け止められている。この評価には、筆者も全くの同感である。