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円谷怪獣のひみつ

円谷怪獣のひみつ

切通理作

(撮影・杉本晋一)

切通理作 きりどおし・りさく

1964年、東京都生まれ。文化批評。『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』『怪獣少年の<復讐> 70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)『山田洋次の<世界>』(ちくま新書)『ポップカルチャー・若者の世紀』(廣済堂出版)『失恋論』(角川書店)ほか多数。『宮崎駿の〈世界〉』(現ちくま文庫)でサントリー学芸賞受賞。2013年12月より、日本映画批評メルマガ『映画の友よ』(夜間飛行)を配信中。それが昂じて初監督作品『青春夜話 Amazing Place』(アルバトロスよりDVD化)、責任編集の雑誌『シネ★マみれ』を作る。

第5回 怪獣、それは「倒される」べき存在?

 ウルトラヒーローが出てこない『ウルトラQ』では、必殺光線によって怪獣が粉砕されるわけではない。しかし毎回一話完結の締めくくりとして、怪獣は人間の前から姿を消さねばならない。
 考えてみれば、それ以前の『ゴジラ』『空の大怪獣ラドン』等の劇場用怪獣映画では、出現の予兆からその最後まで、一時間半前後かけていたのだから、それに比べれば、ウルトラマンなしで、わずか30分で怪獣たちに退場してもらう方法を考えねばならないとは、番組の制作者たちも、頭を悩ませたかもしれない。言い方を換えれば、創作力を駆使した部分ではないだろうか。
 その怪獣ならではの弱点を見出され、撃退されたのは火星怪獣ナメゴン、冷凍怪獣ペギラ、岩石怪獣ゴルゴス。
 古代怪獣ゴメスは天敵である原始怪鳥リトラの吐くシトロネラ酸で倒されるが、その弱点は戦いを見守る古生物マニアである少年・ジローの知識の範疇(はんちゅう)だった。
 ところがシトロネラ酸でゴメスを倒した瞬間、リトラもまた、覆いかぶさるようにこと切れる。その理由は、劇中では説明されない。自然界の法則は、まだまだ人類の英知の外側にあるかのようだ。

 一方、人類の開発した機器や兵器によって撃退されたのは地底怪獣パゴス、巨大植物ジュラン、誘拐怪人ケムール人だ。その習性を利用され追い込まれたのはもぐら怪獣モングラー、風船怪獣バルンガ。異星人の指令で動いていたが発信源を絶たれたロボットである隕石怪獣ガラモンもまた、人類の機転によってさらなる危機が回避されたといえる。
 また、古代の人々や巫女による予言と、現代の人々の奮闘努力が合わさった結果、貝獣ゴーガは滅び、コイン怪獣カネゴンは元の人間に戻った(後者は多分に偶然の要素が強いが)。逆に、昔ながらの市井(しせい)の人々の命を懸けた勇気と、近代的な軍用兵器の援護射撃が合わさって撃退されたのは大ダコのスダールそして宇宙エイのボスタングだ。人類の団結と科学の進歩が調和した瞬間に怪獣は倒されたのだ。