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円谷の本棚から
第5回「ウルトラマンティガ 輝けるものたちへ」(早川書房刊)

“世界誕生の瞬間”に立ち会う喜び

今より少し昔。
多くの特撮ファンにとって、“紙の本”はとても重要かつ、心ときめくアイテムでした。
そんな古き良き時代に、ファンの心を揺さぶり、魂の渇きを癒してきた“本”に焦点を当てていく「円谷の本棚から」。第5回は本年6月に発売になり、ファンの間に大きな話題を呼んだあの小説を取り上げます。

今回お題に選んだのは早川書房から刊行された「ウルトラマンティガ 輝けるものたちへ」です。『ウルトラマンティガ』は円谷プロダクションにとっても円谷プロ制作作品に注目を寄せてくださるファンの皆様方にとっても、文字通り“新たな時代の幕開け”となった作品でした。太古の遺物となっていた巨人像に人が抱く熱い正義の心が合わさることで光の超人として復活するといった斬新なキャラクター像やタイプチェンジという画期的なバトルスタイル、世界を闇に閉ざそうとする悪意ある存在との壮大な戦い…などといった従来の設定を離れて新たに創造されたウルトラマンの物語は多くの視聴者を魅了し、熱く大きなうねりとなって90年代末の日本の特撮シーンを盛り上げました。『ティガ』をきっかけとして、円谷プロダクションは『ウルトラマンダイナ』、『ウルトラマンガイア』、『ウルトラマンナイス』、『ウルトラマンコスモス』と毎年のように新ヒーローを生み出し、令和の現在まで続くウルトラマン人気の礎(いしずえ)を築きました。『ウルトラマンティガ』のオンエアが1996年9月スタートですから、もうすぐ初回放送から23年目を迎えるわけです…。あの頃は、テレビのオンエアを録画していたのがまだビデオテープで…。レーザーディスク、DVD、ブルーレイときて、今はハードディスクに映像録画が溜めておけるようになりました。時の流れなるものは、あれこれと思うにまことに感慨深いものであります…。

今回取り上げる「ウルトラマンティガ 輝けるものたちへ」は、『ティガ』を筆頭とするいわゆる“平成ウルトラマン三部作”として知られる作品群を再発見かつ多面的なスポットを当てる、円谷プロダクションによる「TDGプロジェクト」の一環として生み出されました。今回の小説では、『ティガ』のある特定の部分にスポットを当てるのではなくて、全52本のテレビドラマとして放送されたシリーズ全体を俯瞰(ふかん)するような構成を取っていて、その中で『ウルトラマンティガ』の作品世界観の基軸となるようなエピソードを中心に据えながら、映像上では直接的に描かれない前史設定の部分も融合させて編み出されています。ですから、『ティガ』のことをよく知っているファンの方が「そうか、もう20数年経つのか…」という番組を懐かしむような気持ちでお読みいただいても勿論良い(『ティガ』を愛するファンに向けたツボはきちんと押さえられていますし!)ですし、おおよそのことだけしか『ティガ』のことは知らないけれど、『ティガ』のことを知りたいな~と思っているウルトラビギナー、ライトファンの方にも気軽に手に取っていただける内容になっています。