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円谷の本棚から
第8回「FANTASTIC COLLECTION
不滅のヒーロー ウルトラマン白書」(朝日ソノラマ刊)

とにかくウルトラマンシリーズに
関する情報が満載

今より少し昔。
多くの特撮ファンにとって、“紙の本”はとても重要かつ、心ときめくアイテムでした。
そんな古き良き時代に、ファンの心を揺さぶり、魂の渇きを癒してきた“本”に焦点を当てていく「円谷の本棚から」。第8回は、円谷プロ関連書籍の歴史を眺めるとき、歴史の里程標(マイルストーン)とも呼ぶべき意義深い書籍を取り上げます。

「ウルトラマン白書」、通称「白書」。その書籍名は、円谷プロの社員にとっては、少々特別の意味をもって響いているのではないか、と考えることがあります。それはなぜか? 何かあったら、「白書」を引け。「白書」を参照しろ。そう言われた体験を持つ社員は結構な数でいると思うのです。つまり、「ウルトラマン白書」は、社内で一種の手引書、ものすごくオーバーに言えば、ウルトラの教科書のような取り扱いを受けているようなところがあったワケです。いやいや、「あった」などと過去形で語ってはいけません。1995年に刊行された「ウルトラマン白書 第4版」は今でも現役の教科書として円谷プロの社内で機能している面があります。恐らくまぁ、ごく一部のページに限ってのことだろうとは思うのですけど…(どこが現役で活用されているかは後述します)。つまり、それぐらい「役立つ本」として円谷プロの内部で浸透、活用されていたという実績を持つのがこの「ウルトラマン白書」なのです。
理由は明白です。とにかくウルトラマンシリーズに関する情報が満載であること、です。ウルトラマン、ウルトラセブン…といった円谷プロ作品の基幹をなすヒーローのことは勿論、その技、変身する主人公やそれを取り巻く登場人物、戦った怪獣、各作品に登場する防衛チームのメカニック関係も総覧できる…だけじゃない! 各作品の主要スタッフ名入りの全話放送リストはつくわ、シリーズがどのように企画されて放送に向けて事態が推移していったかの解説はつくわ、挙句には怪獣のデザイン画まで載ったりするわで、もうとにかくテンコ盛りの内容で、これさえ読めば、ウルトラのことは粗方見て分かる、熟読していけばやがて飲み込めてしまうという、とんでもなく贅沢かつ豪華、そして実にタメになる(ことウルトラマンシリーズの知識を吸収するという、特殊な目的においては(笑))こと間違いなしな書籍なのです。初版発行時は『ウルトラマン80』までをフォローしていますが、第2版刊行時には初版の内容に『アンドロメロス』や『ウルトラマンキッズ』を加えてフォロー。第3版では同様に基本の内容にプラス『ウルトラマンG(グレート)』までを、第4版ではウルトラマンネオス、ウルトラセブン21誕生までをフォローしています。その間、新たに特集として組まれた新規ページが散見されますが、キャラクターや怪獣紹介、全話放送リストなどのベーシカルな項目はずっと引き継がれ、ウルトラの教科書、ウルトラの百科事典としての役割を長年担い…いや、一部のページは今も(しつこいようですが)資料として現役で使われている、ありがたい書籍なのです。だからこそ、それこそ新入社員にはまずこの「白書」を眺めることから始まる、といった時期もあった…はずです(笑)。

やはりまず、「白書」で書いておかねばならないと思うのは、その情報の圧倒的分量ということでしょう。『ウルトラQ』からその版で最新となるシリーズ作品までの基本概要が全部詰まっているというこのありがたみ。単に情報が載っている、というだけの話ではありません。知るべき基本の情報が過不足なく載っている。まずその意味は大きく、かつ非常に重要です。こと初版に限ってだけ言えば、『Q』から『80』までの作品の基本がこの1冊で把握できるのです。第3版まで来ると、テレビシリーズだけにとどまらず、劇場公開された作品のこともしっかりフォローしてあります。もちろん、さらに突っ込んで知りたい情報もあるので、「白書」頼みに出来ないこともある。でも、この1冊あれば知りたいことが基本的には全部フォローが出来る。これは凄いことです。