TEXT SIZE

標準
ARCHIVESプロジェクトレポート第5回「中野昭慶(特技監督)」

ARCHIVESプロジェクトレポート
第7回「中野稔(光学合成)」

独創的かつ視覚的な発想は
番組オープニングタイトルや
社章のマークデザインにまで

清水節

清水 節 しみず・たかし

1962年、東京都生まれ。映画評論家・クリエイティブディレクター。「PREMIERE日本版」「STARLOG日本版」等での編集執筆を経て、「映画.com」「シネマトゥデイ」「FLIX」等で執筆、ニッポン放送等に出演。著書に「いつかギラギラする日  角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」等。WOWOWのドキュメンタリー番組「ノンフィクションW/撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画制作でギャラクシー賞、国際エミー賞受賞。

(※本文敬称略)

 円谷プロダクションは、円谷英二が自宅の庭に個人的に設けていた「円谷特技研究所」を母体として、1963年に設立された(当初の社名は「円谷特技プロダクション」)。のちに特技監督となる高野宏一や、脚本家となる金城哲夫らとともに、草創期のメンバーの一人となった中野稔は、日本大学芸術学部在学中の1958年に円谷英二の自宅を訪ね、アルバイトとして撮影現場に出入りし、特撮の神様の仕事ぶりを間近で観ることで、その奥義に触れ、若き日から「光学合成」の第一人者となった。

 光学撮影または光学合成とは、複数の映像を重ね合わせて、実際にはカメラを向ける被写体が存在しない映像を作り上げる、フィルムというケミカルなメディアの特性を生かした、特殊撮影技術のひとつである。

「実写の作品にはあまり夢を感じなかった。アニメや特撮はまだ過渡期だったからやってる人が少なかった。当時、アニメーションには画期的な線画台があった。マルチプレーン・カメラといって、セル画を多層に配置して、奥行きのある画の中にカメラがどんどん入っていくわけ。実写の撮影より、アニメーションの撮影技術の方が一歩前に出ていた。勉強して取り組むには、特殊撮影のテクニックだと思っていたからね」

『ウルトラQ』OPの
発想の源とは?

 ウルトラマンの腕や怪獣の口から光線が出る視覚効果や、巨大な怪獣と人間を同一画面で見せる合成技術はもちろんのこと、中野を筆頭とする多くのスタッフたちの独創的な発想によって生まれたものとして、番組のオープニングタイトルがある。マーブル状の模様が回ってタイトルロゴが現れる、『ウルトラQ』の冒頭。敷き詰めた糊の上に文字を書き、その下に仕込んだプロペラのような仕掛けを回転させて文字を崩していく。その映像を逆回転させることで完成したあの有名な映像の発想源は、ディズニー映画だったという。