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第10回:『ウルトラファイト』

TSUBURAYAライブラリー
第10回:『ウルトラファイト』
(1970年9月28日~1971年9月24日)
TBS系/月曜~土曜:17時30分~17時35分/全196話

解説:中落合たかし

第2次怪獣ブームへの導線!
怪獣プロレスに始まる新撮編は
やがて不条理なカルト作品へ

「怪獣ブーム」が過去のものとして語られ始め、次は怪奇だ、妖怪だ、と喧伝された1960年代終盤。結局、社会現象化するまでのブームになったのは、「スポ根(スポーツ根性もの)」だった。『巨人の星』がアニメ化された1968年頃に端を発するが、渦中を生きた“高度成長期キッズ”の筆者の実感としては、『タイガーマスク』『柔道一直線』という格闘技系のアニメや実写ドラマがブームを本格化させたように思う。

とはいえ、次から次へとムーブメントを仕掛けては消費させようとする大人たちの思惑とは別に、特撮や怪獣への想いが消滅したわけではなかった。68年の夏休み映画『怪獣総進撃』と69年の冬休み映画『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』は、怪獣を大挙出演させた、いわゆる“顔見世興行”の様相を呈した。この2本の東宝特撮映画は、ストーリーを練るよりも怪獣アクションにこそニーズはあるという、当時の風潮の一側面を踏まえていたといえるだろう。

そして迎える、70年1月の円谷英二の死。苦境に陥った円谷プロは、起死回生の企画を立てる必要性に迫られた。発想の直接的なヒントになったのは、69年春に後楽園ゆうえんち特設会場「大宇宙怪獣館」で上映された約15分のサークロラマ映画『ウルトラマン ウルトラセブン モーレツ大怪獣戦』(脚本構成:大伴昌司/監督:佐川和夫)だったといえるだろう。全方位にレンズを向け同時撮影できる11台の特製カメラで撮った映像を、視界360度に映写する全周スクリーン映画だが、ブースカとチャメゴンを進行役に、『マン』『セブン』の怪獣・宇宙人の名場面の流用に加えて、円谷プロ怪獣倉庫で眠っていたスーツによる新規撮影(以降、新撮)の格闘シーンで構成されていた。