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TSUBURAYAライブラリー第6回『恐竜大戦争アイゼンボーグ』

TSUBURAYAライブラリー
第6回『恐竜大戦争アイゼンボーグ』
(1977年10月7日~1978年6月30日)
東京12チャンネル(現・テレビ東京)/毎週金曜:19時30分~20時00分/全39話

解説:中落合たかし

着ぐるみ特撮への回帰
巨大ヒーロー出現でテコ入れ
円谷恐竜三部作の第2弾!

パイオニア精神が生んだ70年代後半の「円谷恐竜三部作」第2弾。それが『恐竜大戦争アイゼンボーグ』だ。企画時点では第1弾『恐竜探検隊ボーンフリー』の世界観を踏襲し、恐竜と人間の関係性をより明確なものにしようというコンセプトが立てられた。放送局や広告代理店の変更に伴って企画は徐々に変容していく。前作での恐竜保護から恐竜とのバトルへの変更を柱に、ジュール・ヴェルヌや手塚治虫、石ノ森章太郎らの作家も描いてきた「地球空洞説」を採用。約7千万年前に滅んだはずの恐竜たちが、地球内部の空洞で生き永らえて王国を築き、凶暴な生き物へ進化していたという設定が用意された。そして、高い知能を有するティラノサウルス(恐竜帝王ウルル)が率いる恐竜軍団が、地上の征服を始めるという導入だ。

兄妹合体で完全体サイボーグに変身!

迎え撃つ人類は、防衛チーム「D戦隊」を結成。リーダー格の立花善(声:上恭ノ介)と立花愛(声:麻上洋子→現・一龍斎春水)の兄妹は、父・立花博士が開発中だった対恐竜戦闘車の事故で重傷を負い、サイボーグ手術を施される。ピンチに陥ると、善と愛は腕をクロスさせるアイゼンクロスによって完全体サイボーグである、等身大のアイゼンボーグマンに変身。と同時に、操縦する戦闘車両アイゼンⅠ号は、変身戦闘艦アイゼンボーグ号に変形。タイトルの語源は、ドイツ語で鉄を意味する「eisen(アイゼン)」である。

『ボーンフリー』同様に<アニメ×特撮>方式だが、特撮シーンは、前作のモデルアニメから従来の着ぐるみ特撮およびミニチュア撮影に戻された。恐竜帝王ウルルのスーツは、直前に円谷プロが特撮を担当した日米合作映画『極底探険船ポーラーボーラ』(1977)のティラノサウルスを改修して登場させている。メカデザインは、東映ヒーロー番組のキャラクターデザインなどでも知られる野口竜。アニメパートのキャラクターデザインは河島治之と菊田武勝。番組は当初、恐竜に立ち向かうさまざまなマシンの戦闘能力を描く「メカニック特撮」を最大の見せ場としてスタートした。

なぜ、この時代は「恐竜もの」の企画が成立したのだろう。きっかけは、1976年6月21日に北海道三笠市の桂沢湖周辺の白亜紀地層から見つかった、ある生物の頭部の化石だった。それは「エゾミカサリュウ」と名付けられ、8300万年前に生息していたティラノサウルス類ではないかと鑑定された。北の大地で“日本初の肉食恐竜化石”発見!と大々的に報じられ、翌年には国の天然記念物に指定された。三笠市は町興しに大いに恐竜を活用し、79年には三笠市立博物館が完成してエゾミカサリュウの化石を展示。日本は恐竜ブームに沸いていた。しかし、科学の進展は非情である。その後の研究で、浮かれムードは一変。80年代半ばには、エゾミカサリュウは恐竜ではないことが判明し、やがて、海に棲んでいた肉食の爬虫類、オオトカゲの一種であると訂正されてしまう…。少なくとも、円谷プロが恐竜三部作を制作した76年から79年までは、日本人が北の恐竜に太古の夢を見ていた期間だったのだ。