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第7回『ファイヤーマン』

TSUBURAYAライブラリー
第7回『ファイヤーマン』(1973年1月7日~1973年7月31日)
日本テレビ系/毎週日曜:18時30分~19時
(第13話より毎週火曜:19時~19時30分)/全30話

解説:中落合たかし

『ウルトラマン』へ原点回帰!
未知なる地底や海底に着目
マグマの巨人が地球平和を守る

円谷英二が1月に亡くなり、大阪万博が春から秋にかけて開催された1970年は、テレビの特撮番組にとっても大きめな節目だった。テクノロジーの発展が成長神話を推し進めてくれると信じた夢の、終わりの始まりだったといえるだろう。国鉄が電通と組んで「ディスカバー・ジャパン」という日本再発見のキャンペーンを展開して社会現象化し、高度経済成長からの脱却が叫ばれ始めた頃。1971年に始まる第二次怪獣ブーム(変身ブーム)は、ゴールデンタイムに番組がひしめく量産体制によって、粗製乱造も招き始めていた。

ブームに陰りが見え出した1972年後半。このままでは子供たちから飽きられてしまう…という危機感の下、円谷プロが創立10周年記念企画のひとつとして立ち上げた作品が『ファイヤーマン』だ。コンセプトは、巨大ヒーロー作品の原点回帰。原点とはもちろん『ウルトラマン』である。当時の分析によれば、『ウルトラマン』成功のファクターは、4つに大別された。「ストーリーが単純明快」「エンターテインメントに徹した画面構成や素材展開」「怪獣が本格的」「テーマが今日的」。そのうち4つめが最も重視され、科学の力で宇宙を目指した60年代半ばのシンボルであった『ウルトラマン』とは対照的に、私たち人間の足元を見つめ直そうと企図したわけである。今日的なテーマに挑むジャーナリスティックなスタンスは、目前に控えていた沖縄海洋博(1975年)をも見据え、『ファイヤーマン』では、いわば“ディスカバー・アース”とばかりに、人類にとって未開拓の世界である地球の「地底や海底」に、新企画の突破口を見出したのだ。

『日本沈没』を先取りしたスペクタクル特撮

人間ドラマとしては略称SAF(Scientific Attack Force)こと地球科学特捜隊という政府直属の機関を中心に展開する。メンバーは、海洋学&生物学博士・海野軍八(睦五郎)を隊長に、宇宙工学博士・水島三郎(岸田森)、工学博士の千葉太(平泉征→現・平泉成)、コンピュータープログラマーの葉山マリ子(栗原啓子)。地質学研究室の研究員・岬大介(誠直也)もSAFに入隊することになるが、彼こそは1万年以上前に地底に陥没して独自の文明を築いてきたアバン大陸の住人で、本名はミサキー。地上の危機を察知した長老たちからファイヤースティックを与えられた、平和を守るファイヤーマンに変身するマグマの超人だ。

物語は、巨大隕石が落下して地球に異変が起こり始め、怪獣が長き眠りから目覚めるところから始まる。そして伝説の炎の巨人が現れ、人類のために怪獣に立ち向かう。必殺技は、両手に集めたマグマのエネルギーを球状にして相手に投げつける、ファイヤーフラッシュだ。画面からは、SF性以上に神秘とロマンを! そんな意欲が伝わってくる。恐竜型ともいえる原始怪獣を登場させた主旨からは、あのウルトラ怪獣のインパクトよもう一度!という狙いも垣間見える。